この記事では、世界的な株式インデックスの提供者であり、投資分析の領域で世界をリードする米国企業、MSCIを紹介します。
MSCI【 ティッカー:MSCI】
MSCIの事業は主に二つに分かれています。
まずインデックス事業では、株式や債券のパフォーマンスを評価・比較するための指標となるインデックスを提供しており、このインデックスは投資家による投資判断の一助となっています。
日本の人気のある投資信託の多くはMSCIのインデックスを利用しており、代表的なものとしては「emaxis slim 全世界株式」などがあります。
次にアナリティクス事業では、投資リスクとリターンを評価するための高度なツールやソフトウェアを提供し、資産運用企業や銀行などに対し資産の適切な管理と運用を支援しています。
売上・顧客構成
売上構成は以下のようになっています。
"ABF"はインデックスと同じと考えて差し支えありません。
顧客基盤はこのようになっています。
このように、多様な分野からバランスよく収益を上げています。
繰り返し発生する収益が98%を占め、収益の予測可能性と安定性が高い
「AUM連動収益」は運用資産総額に連動する収益という意味で、MSCIが提供するインデックスに連動する投資信託などの残高に応じて一定の割合で支払われる指数使用料から得られる収益のことです。
サブスクと簡単には減少しない投信残高に応じて定期的に支払われる使用料による定期的に発生する収益が98%を占め、収益は非常に安定しています。
顧客の定着率も常に90%を超えており、驚異的です。
MSCIの株価推移
2007年の上場以来、年利18.26%で上昇を続けています。
MSCIの各投資指標
ROAは17%と非常に高く、EPSは安定的に、かつ急速に伸びています。
凄まじい自社株買いによって債務超過となっており、BPSもマイナスとなっています。
普通の会社ではこんな事はできません。
これらのことから、MSCIの高い競争力と安定した収益の拡大が窺えます。
MSCIは世界で稼ぐ先進国企業
今後、ますますアジアとアフリカの人口とGDPのシェアは増えていき、経済の中心は東側にシフトしていきます。
自国内や先進国だけでなく、このような新興国でも収益を上げることが、企業にとっても保有する株式の値上がりを望む投資家にとっても、今後ますます重要になっていきます。
MSCIは世界中で事業を展開し、この世界的な流れに対応しています。
MSCIは高付加価値企業
MSCIは、金融インデックスやポートフォリオ分析ツールを提供することで、私たちの資産形成に大いに貢献しています。
また、同社が提供するインデックスは、株式投資における基準となるもので、個々の投資家が資産運用の方向性を確認する上で重要な役割を果たしています。
これらの事業を通じて、MSCIは顧客に対し高い付加価値を提供していると言えるでしょう。
MSCIは強固な参入障壁を持つ
一度インデックスファンドの連動先に選ばれたMSCIの指数は、基本的には乗り換えられることがありません。
MSCIが算出する指数はすでに多くの人気のあるインデックスファンドで採用されており、インデックスファンドはパッシブ運用であり差別化ができないため、既に圧倒的なシェアを持つMSCIの牙城を崩すことはほとんど不可能です。
これらの要素から、MSCIは強固な参入障壁を有していると言えるでしょう。
MSCIは長期潮流に乗っている
MSCIは、インデックス運用の隆盛により恩恵を受けています。
資産運用業界において、コストや透明性の面で優れ、手軽な上に運用成績でもほとんどのアクティブ運用に勝るインデックス運用が一般的となっている今日、その基準となるインデックスを提供するMSCIの重要性は増すばかりです。
さらに、世界の経済成長に伴い、投資可能な資産が増えると、それらの運用に用いられるMSCIのインデックスや分析ツールの需要も同時に増加します。これにより、MSCIのビジネスは世界経済の拡大とともに持続的に成長する可能性が高いです。
このような長期的な潮流に乗ったビジネスモデルが、MSCIの強さと成長の源泉となっています。
まとめ
MSCIは、投資分析とインデックス提供を核とする事業を展開しており、株式や債券のパフォーマンス評価、リスク管理、資産運用の効率化を可能にする重要な役割を担っています。
同社の製品は投資判断の一助となり、高い付加価値を提供しています。
また、インデックスと連動した投信などの運用資産総額により定期的に収益を上げ、その安定性は顧客の定着率90%以上という驚異的な数字からも窺えます。
株価も上場以来、年利18.26%で上昇を続けています。
また、同社は強固な参入障壁を有しており、インデックス運用の隆盛や世界経済の成長など、長期的な潮流に乗っています。
これらは、MSCIの強さと成長の源泉となっており、同社は今後も並外れた収益を上げる能力を持っています。