この記事では、ルイジアナ州に本社を構え、プールの設置とメンテナンスにおいて米国で圧倒的なシェアを誇るプール・コーポレーションを紹介します。
プール・コーポレーション【 ティッカー:POOL 】
アメリカでは、日本とは異なり、自宅にプールを所有していることは珍しいことではありません。
プール・コーポレーションの事業は大きく見ればプール関連製品の卸売ですが、細かくは3つの領域から成り立っています。
新規のプール設置工事が売上の約17%を占め、既存のプールのリノベーション、つまり既存のプールの改修や改善に関する事業が約22%を占めています。
最も大きな割合を占めるのは、既存のプールの維持のためのメンテナンスで、これが売上の約61%を占めています。
プールの持ち主は定期的にメンテナンス費用を支払う必要があるため、この部分がプール・コーポレーションの収益の安定性を高めています。
2200以上のサプライヤーから20万以上の製品ラインナップを取り揃えており、他を寄せ付けない品揃えで利便性を上げています。
プール関連の代表的な製品でシェアを拡大し、売上を伸ばしています。
収益源はほとんどアメリカに集中していますが、必要不可欠なサービスで圧倒的なシェアを持つプール・コーポレーションは、米国の経済成長が頭打ちにならない限り、安定して収益を伸ばし続ける企業と考えられます。
プール・コーポレーションの株価推移
1995年の上場以来、年利18.26%で上昇を続けています。
プール・コーポレーションの各投資指標
ROEは59%、ROAは19%と非常に高く、EPSは安定的に、かつ急速に伸びています。
これらのことから、プール・コーポレーションの高い競争力と安定した収益の拡大が窺えます。
それに対してPERは19倍と低く、割安に見えます。
プール・コーポレーションは高付加価値企業
プール・コーポレーションは、スイミングプールの設置、リノベーション、そして維持管理といった各種サービスを提供し、高い付加価値を創出しています。
これらのサービスは、特にアメリカにおいて、家庭のレクリエーションや生活の一部となっており、QOLの向上や豊かな時間を提供しています。
プール・コーポレーションはその製品とサービスにより高い付加価値を提供していると言えるでしょう。
プール・コーポレーションは強固な参入障壁を持つ
プール・コーポレーションが扱うプール関連製品は非常にニッチな市場で、製品自体が重く、また専門スタッフによる取り付けが必要なものも多いため、独自の配送網と専門スタッフが必要となります。
また、顧客にとっては、どこへでも駆けつけてくれること、そしてどんな製品でも手に入ることが重要です。
プール・コーポレーションは独自の巨大な配送網を持ち、20万点を超える品揃えを提供することで、このニーズを満たしています。
さらにプール・コーポレーションは、これらの特徴により、Amazonのような大手通販企業の市場参入も防ぎ、プール業界のAmazonのような立ち位置で君臨しています。
このような強固なビジネスモデルにより、プール・コーポレーションは他社の参入を防いでいると考えられます。
プール・コーポレーションは長期潮流に乗っている
プール・コーポレーションは、アメリカの経済成長に伴い自宅にプールを設置する人が増加することにより、業績を拡大しています。
経済成長によって所得が上昇すると、自宅へのプール設置のニーズが高まり、その結果、プール設置工事や、既存のプールのメンテナンスといった同社のサービスの需要が増加します。
しかし、一方で、ミニマリスト的な価値観の広がりという懸念材料もあります。
これは、物質的な所有物よりもシンプルな生活や体験を重視するという価値観で、これが広まると、自宅にプールを設置するというニーズが減少する可能性があります。
それでも、プールはアメリカの家庭で一定のニーズがあり続けると見られており、また、同社の既存プールのメンテナンスという安定した収益源もあるため、プール・コーポレーションはこの長期的な潮流に乗って業績を伸ばし続けると期待できます。
プール・コーポレーションは、同社の収益が長期的に6~9%で成長すると見込んでいます。
まとめ
プール・コーポレーションは、米国におけるプールの製造とメンテナンス業界で圧倒的なシェアを持つ企業で、プールの新設、リノベーション、そして維持管理という3つの領域で事業を展開しています。
特に、定期的なプールメンテナンスが売上の61%を占め、その安定性が同社の収益の拡大を支えています。
また、2000以上のサプライヤーから20万以上の製品を提供することで利便性を確保し、高い競争力を持っています。
これらのサービスは、QOLの向上や豊かな生活を提供するという付加価値を創出しており、そのビジネスモデルにより他社の参入を防いでいます。
しかし、米国の経済成長とともに自宅にプールを設置する人が増える一方で、シンプルな生活を重視するミニマリスト的な価値観の広がりにより、プール設置のニーズが減少する可能性があるという懸念も存在します。
それでも、プールはアメリカの家庭で一定のニーズが続いており、既存プールのメンテナンスという安定した収益源もあるため、プール・コーポレーションはこの長期的な潮流に乗って業績を伸ばし続けることが期待されています。