この記事では、個別株で年利15%を得るための再現性の高い戦略を紹介します。
GVMTという名前は以下を意味します。
"G"(Global: 全世界で収益を上げる企業)
"V"(Value: 高い付加価値を提供し、割安)
"M"(Moat: 強固な参入障壁を持つ)
"T"(Trend: 世界全体の長期潮流に乗っている、成長)
概要
この戦略では、まず以下の条件を満たす、長期的に高収益を継続すると予想される銘柄を選択します。
主観的なチェック項目:
- 世界で稼ぐ先進国企業
- 高付加価値
- 経済的な堀がある
- 長期潮流に乗っている
客観的な指標:
- 海外売上比率 > 50%
- ROE > 15%
- PER < 50倍
- EPSが安定的に上昇している
- 株価が安定的に上昇している
そして、割安度から最適なポジションサイズを計算し、毎月月初にリバランスします。
これにより、長期にわたって高い投資リターンを得ることを目指します。
ステップごとに4つの記事に分けて解説していきます
1. 候補銘柄の選定方法
2. 期待運用利回りを計算して購入希望株価を算出する
3. 各銘柄の組入比率とリバランス方法
4. 売却条件
1. 候補銘柄の選定方法
この記事では、「1. 候補銘柄の選定方法」までを説明します。
そもそもどんな企業の中から銘柄を選べばいいのか?
全世界に星の数ほどある企業すべてをチェックする時間はないので、最初からある程度範囲を絞って、その中から銘柄を選ぶ必要があります。
世界で稼ぐ先進国企業を買う
まずは世界の長期潮流から見ていきます。
先進国から新興国への経済シフト
今後、ますますアジアとアフリカの人口シェアは増えていき、
GDPのシェアも既に新興国が先進国を抜いていますが、今後さらに引き離していきます。
今後は新興国で大きなシェアを取ることがますます重要になっていくのです。
新興国の株を買えばいいというわけではない
ですが、だからといって新興国の株を買えばいいというものでもありません。
新興国は政権が不安定であることが多く、様々な法整備も未発達なので、先進国に比べて投資リスクが高くなりますし、情報がなかなか入ってきません。
新興国の株がダメというわけではありませんが、もっと安全で確実な方法があります。
世界で稼ぐ先進国企業を買う
視点を先進国の企業に移してみましょう。
先進国には、長い歴史を持ち、新興国を含め全世界で圧倒的なシェアを誇る巨大企業がたくさんあります。
新興国の企業に直接投資しなくても、これらの企業に投資することで間接的に利益を享受することができるのです。
これらの企業ならば長い歴史を通じて作り上げたブランドや信用力がありますし、しっかりと法整備された先進国に本社があるため、信用コストも低くなります。
また、全世界に収益源を持っているため、リスク分散も十分です。
現実的に日本から投資できる先進国となると日本とアメリカでしょう。
スクリーニングの条件
ここまでの内容を総合して、以下の条件を推奨します。
- 日本かアメリカの企業
- 海外売上比率50%以上
数字は調整していただいて構いません。
銘柄選びの前提
ここからは、上記の条件である程度絞り込みをした上で、さらに絞り込んでいきます。
何十年も先までの期待運用利回りを精度高く予測して実際に持ち続けるためには、その企業の継続的な収益性と何十年先でも今と同じ事業を続けているという事業内容の不変性への絶対的な確信が必要です。
新興企業に代表されるように、「この会社は10年後もずっと成長し続けている」と確信が持てない企業や、斜陽産業で同じ事業を続けられているか確実とは言えないような企業では精度の高い予測はできませんし、安心して持ち続けることもできません。
そのため、投資先の企業には以下の2つの条件が求められます。
- その企業が何十年後でも現在と同程度の収益を上げて成長し続けると確信が持てること
- その企業が何十年後でも現在と同じ事業を営んでいると予想できること
つまり、バフェットの投資になります。
候補銘柄選びの4ステップ
ここからは具体的な銘柄選びの方法を説明していきます。
① 事業内容だけを見て条件を満たすか考える
候補の銘柄が先程挙げた2つの前提を満たしているかを確かめるための条件は以下の3点です。
- 高付加価値
- 経済的な堀がある
- 長期潮流に乗っている
検討している銘柄がこれを満たしているかを確認していきます。
注意すること
先入観に囚われないために、まずはその企業の事業内容の概要だけを見て、これらの条件を満たしているかを考えましょう。
チャートも指標も財務諸表も、もちろん他人のYouTube動画やブログも見てはいけません。
答え合わせの方法は後で説明しますので、まずは自分の頭で考えましょう。
1. 高付加価値
高い収益を上げ続けるためには大きな付加価値を提供できなければ話になりません。
その企業が、誰の、どんな、どれくらい大きくて切実な問題を、どれだけ多く、どれだけ効率的に解決しているかを考えましょう。
2. 経済的な堀がある
何十年後までずっと稼ぎ続けるためには、その企業に他社を寄せ付けない強固な参入障壁が必要です。
参入障壁の例を以下に挙げますので、検討している企業に強固な参入障壁があるか考えてみてください。
無形資産
-ブランド
-特許
-規制乗り換えコスト
-絶対に失敗できない業務に使う製品(医療系など)
-再訓練/再習得コスト
-金銭的なコスト
-購買決定の寄与度の割に費用が小さい(香料など)コストの優位性
-地理的条件
-独自の資源(鉱山など)規模の暴力
(※「購買決定の寄与度の割に費用が小さい(香料など)」について、例えば消費者がどの香水を買うかを決定する要因の9割以上は香りだと思いますが、香水にかかる香料の仕入れ値は経費全体の1割にも満たず、ほとんどは流通費や広告宣伝費に費やされています。そのため、香料にかかる経費を削減したところで経費全体から見れば極めて小さな経費削減にしかなりませんし、購買要因のほとんどを占める香料を信用できるかわからない会社のものに変更するのはかなりのリスクが伴います。そのため、他社が大幅に安く香料を卸したとしても、すでにシェアを持っている企業の牙城を崩すことはかなり難しいでしょう。このような費用と提供価値の非対称性を「購買決定の寄与度の割に費用が小さい」としています。)
3. 長期潮流に乗っている
何十年後までずっと同じ事業が通用するためには、その産業が長期潮流に乗っていて廃れないものでなければなりません。
例えば誰の目にも明らかな長期潮流として、以下のようなものがあります。
例えば独占的な地位を占める出版社でも、デジタル化や紙離れ、活字離れなどで、今後もますます苦しくなっていくことは確実でしょう。
逆に例えばヘルスケアの分野は、世界的に寿命が伸びていることや健康志向の高まりで、今後も長期に渡って高い収益と成長が期待できそうです。
人の命や健康を預かる繊細な分野ですから、先出の参入障壁「絶対に失敗できない業務に使う製品(医療系など)」にも守られており、魅力的な企業が多くあります。
3つとも満たすと思えば次のステップへ
これら3つを満たしていると思えば、次のステップへ進みましょう。
1つでも満たしていないものがあれば、次の候補を探します。
② 各種指標で①の判断に間違いがなかったか裏付けを取る
次は各種指標を確認して、自分なりの予想が当たっていたかの答え合わせをします。
バフェットコード(https://www.buffett-code.com/)などを使って以下を確認しましょう。
- ROE15%以上
- EPSが安定して上昇している
- 過去チャートが右肩上がり
高い付加価値を消費者に提供していて強固な参入障壁に守られているならば、ROEは最低でも15%くらいなら超えてくるはずですし、EPSも安定して上昇するはずで、それを反映して過去の株価チャートも右肩上がりのはずです。
上記3点を満たしているならばあなたの予想は当たっていた可能性が高いでしょうし、そうでなければ残念ながら外れていた可能性が高いでしょう。
③ 財務諸表を読んだり、さらにその企業について調べたりしてさらに深堀り
財務諸表やIR情報を読み込んで、さらに深堀りしていきます。
ここは会社によって見るべきところが多様すぎるので省略します。
④ 他人の意見を聞いて最終確認
ここまでで自分の頭で徹底的に考え抜いたら、最後は他人の意見に頼りましょう。
ほとんどの場合は誰かがブログやYouTubeで発信しているので、それを見るのが最も手っ取り早いです。
特に否定的な意見に注目して、自分が明らかに危ない会社に投資しようとしていないかを確認するべきです。
何度もトライ&エラーを!
最初は「この会社は絶対優良企業のはず!」と思っていたのに実際には見当違いだったということも多々あるでしょう。
その場合は、必ずなぜ予想が外れたのかを考えてください。他人の発信を見てもいいです。
予想と答え合わせを繰り返すうちに、投資家としての目がどんどん肥えていくはずです。
すべてのステップをクリアすればリストに追加
ここまでの①~④のすべてのステップをクリアすれば、候補銘柄リストに追加しましょう。
基本的に優良企業の株は割高なので、すぐに飛びついてしまうと高値掴みになる可能性が高いです(それでも最低でも5%程度のそこそこの利回りなら取れる可能性が高いですが…)。
次の記事で、欲しい利回りを得るための購入株価を計算する方法を説明します。
候補銘柄ごとに買いたい株価を計算しておいて、その株価まで下がったときに買えば良いのです。
次も読んで頂けるととても嬉しいです。