この記事では、過去33年間で10万円が2億円以上になったNASDAQ3倍レバレッジ(TQQQ)の売買ロジックを公開します。
検証に使うデータ
2倍レバナスであるQLDは2006年〜、3倍レバナスであるTQQQは2010年〜のデータしかないため、今回の検証には、上記の設定来のNASDAQ100指数のデータをもとに作った仮想の2倍、3倍のレバナスを使用します。
仮想と言っても、日毎の騰落率を2倍、3倍にして実際のレバナスと同じ計算を行っていますので、ほとんど完全に再現できているはずです。
1985年〜の1倍、2倍、3倍の仮想チャートは以下になります。
※このページにあるグラフはすべて、1989年4月を1とした場合に何倍になっているかを示したものであり、実際の株価を表すものではありません。
検証の条件
今回検証するどの手法でも共通で、以下のルールを適用します。
- 初期投資額10万円
- 追加の資金投入はなし
- 売却益が出たら次回購入時に全額投入(引き出しやリバランスは考えない)
- 信託報酬は考えない(商品によって違うため)
- 売却ごとに利益が出ていれば税金20.315%を差し引く
今回検証する売買手法
今回検証するのは以下の4つです。
最後の「月足MACD&パラボリック投資法」が、私が実践する本命の手法で、最初に紹介した「10万円が33年で2億円以上になった投資法」です。
「月足MACD投資法」はレバナス一本リーマンさん、「月足パラボリック投資法」は元機関投資家トレーダー堀江の投資塾さんが考案されたものになります。
積立投資は今回は検証していません。
それでは、検証に入っていきます。
一括投資&ガチホ
まずは王道の一括投資&ガチホです。
他の手法では1989年4月から買いに入りますので、それに合わせて1989年4月の終値で一括投資し、現在までガチホした場合のシュミレーションをします。
シュミレーション結果
- 1倍:487万円(税引き後)
- 2倍:2,728万円(税引き後)
- 3倍:1,368万円(税引き後)
2倍レバナスは税引き後で約273倍になっており、初期投資額が10万円ではなく100万円であれば、3億円近くを持って余裕でFIREできたことになりますね。
個人的に意外だったのが、大暴落を含む長期で見ると、3倍レバナスが2倍レバナスに負けていることです。
上昇トレンドでは順当に伸びていく3倍レバナスですが、
どうやら、ITバブル崩壊と2008年の金融危機(リーマンショック)の大暴落をモロに受けたときに0近くまで下がってしまい、3倍レバレッジの威力を持ってしても2倍に追いつけなかったようですね。
私は一括投資&ガチホ戦略はやりませんが、やるなら3倍ではなく2倍でやるべきだとわかります。
長所
- 何もしなくていい
- 売買しないので支払う税金が最小になる
短所
- 買いタイミングが難しい
- 10年単位の含み損を抱える可能性がある
こんなところでしょうか。
買いタイミングが難しい、10年単位の含み損を抱える可能性がある、という点について、たとえば全くバブル的に見えない以下の部分で2倍レバナスを一括購入していたとすると、
最初の数年は想像を絶する上げを見せますが、2002年から2006年まではずっと含み損、2007年にやっとプラスになったと思ったらまた暴落が来て2011年まで含み損、となってしまっていました。
一括投資額が10万円くらいならまだしも、あなたの大切な100万円が30万円、500万円が150万円になり、10年間ずっとそのままだとしても、耐えられますか?
この例で使った一括購入タイミングは、後から見ればあまり良いポイントではなかったと分かりますが、リアルタイムのチャートはこんな感じです。
あまりにも急すぎる上昇でもなく、株価が下がった後に再度上昇に転じた、絶好の買い場に見えないでしょうか?
それで、結果はこれです↓
少なくとも私は、レバナスに一括投資をする勇気は持てません。
月足MACD投資法
次にレバナス一本リーマンさん考案の「月足MACD投資法」です。
1倍NASDAQの月足チャートで、「12,26,9」のMACDがゴールデンクロスしたときに買い、デッドクロスで売る、というロジックです。
MACDがわからない方はググってみてください。
シュミレーション結果
- 1倍:343万円(税引き後)
- 2倍:4,732万円(税引き後)
- 3倍:2億598万円(税引き後)
- 損失積:0.6
※「損失積」は「平均損失率(相乗平均)✕損失回数」で表され、損失の度合いを表す、私が独自に作った指標です。
例:
損失回数4回、損失率10%,5%,20%,30%のとき、
損失積 = ( 1-( (1-0.1)*(1-0.05)*(1-0.2)*(1-0.3) )^(1/4) )*4 = 0.67
一般式:
損失率がa1,a2,a3,…...anのとき、
損失積 = ( 1-( (1-a1)*(1-a2)*(1-a3)*......*(1-an) )^(1/n) )*n
損をした取引1回あたりの損失率が大きいほど、損をした回数が多いほど数値が大きくなり、この数値が少ないほど、損失の度合いの少ない良い手法と言えます。
絶対的な基準はなく、相対的に比較することで運用の良し悪しを測ります。
この後は断りなくこの指標を使用します。
2倍レバナスは473倍、3倍レバナスに至っては2,000倍です。凄まじいですね。
ただし1倍に関してはガチホよりリターンが少ない(ガチホは487倍)ので、レバレッジを掛けずにこれをやる意味はないように思われます。
長所
最大の強みは、暴落に巻き込まれずに済み、かつ底値近くで買いを入れられる点です。
■ITバブル崩壊時
短所
短所は、持ち合いの相場にめっぽう弱いことです。
以下は下のMACDが短期間に交差を繰り返す、典型的な持ち合いの相場ですが、
5年間、増えたり減ったりを繰り返しています。
検証した過去33年のうち、このような持ち合いの相場は上記の5年だけで、残りは上昇トレンドだったために最終的なリターンは500倍や2,000倍になっていますが、今後は持ち合いの相場が長く続く可能性も十分あります。
かなり完成度の高い手法なのですが、若干の不安が残ります。
月足パラボリック投資法
次に元機関投資家トレーダー堀江の投資塾さん考案の「月足パラボリック投資法」です。
初期値0.02、加速因数0.02、最大値0.1のパラボリックを使用し、チャートの下にあったドットが上に移動したときに売り、上にあったドットが下に移動したときが売りです。
これもわからない方はググってください。
シュミレーション結果
- 1倍:238万円(税引き後)
- 2倍:2,332万円(税引き後)
- 3倍:7,830万円(税引き後)
- 損失積:0.72
こちらも十分すぎる結果です。
長所
この手法の強みは、持ち合いの相場に比較的強く、トレンドにも十分強いことです。
以下は先出の月足MACD投資法が損を出していた持ち合い相場ですが、MACDが何度もダマシのクロスをして損失を出しているのを尻目に、パラボリックは着実に利益を上げています。
トレンドフォローもしっかりできており、買いタイミング、売りタイミングも申し分ありません。
短所
こちらはMACDとは逆で、トレンド中にダマシが多く発生します。
これはおそらく、MACDはその月の終値から計算するのに対し、パラボリックは一瞬でも月初に算出された値より下回れば売りサインが出てしまうために、安値はかなり下がったが終値はそこまででもなく、上昇トレンド継続と判断されるようなところでダマシの売りサインが発生しやすいのだと思います。
このせいで、ITバブルでMACD投資法が資金を60倍近くに増やしているのに対し、
パラボリック投資法では30倍程度にしかなっていません。
売却ごとに税金として資金が約20%引かれ、再投資までの機会損失も出るために利益がかなり削られています。
2010年〜2022年までの上昇相場でも同様で、一直線に利益を伸ばしていくMACD投資法に対し、
パラボリック投資法は激しく上下しており、リターンも十分すぎるほど高いですが、やはり上昇相場ではMACD投資法には及びません。
いいとこ取りの「月足MACD&パラボリック投資法」
最後に、月足MACD投資法と月足パラボリック投資法のいいとこ取りをした「月足MACD&パラボリック投資法」です。
ここで、これまでの内容をまとめましょう。
ここで、マトリックスの右上の、持ち合い相場にもトレンド相場にも強い売買ロジックがあれば最高ですよね?
相場には持ち合い相場かトレンド相場しかありませんから、これが実現すれば、どんな相場でも高確率で利益を上げられる手法ができたことになります。
では単純に、トレンド相場ではMACDを、持ち合い相場ではパラボリックを使ってはどうでしょうか?
これができればそれに越したことはないのですが、自分の主観に頼るやり方はミスが出やすく、個人的にはやりたくないため、この方法は使わないことにしました。
それでは、「MACDとパラボリックの両方の売買サインが点灯したときだけ売買する」というルールはどうでしょうか?
これであれば、現在の相場に関わらず、トレンド相場ならMACDを、持ち合い相場ならパラボリックのサインを待って、常に信頼性が高い方のサインから売買することができます。
検証してみたところ、以下のような結果になりました。
シュミレーション結果
- 1倍:370万円(税引き後)
- 2倍:5,499万円(税引き後)
- 3倍:2億5,997万円(税引き後)
- 損失積:0.06
2倍レバナスが約540倍、3倍レバナスは約2,600倍です。
MACD投資法とパラボリック投資法の両方をアウトパフォームしています。
また、損失積が両方の1/10もしくはそれ以下(MACD:0.6、パラボリック:0.72)で、損失が圧倒的に少ないことが分かります。
長所
長所は単純に、トレンド相場、持ち合い相場のどちらでも安定して高利益を出せる点です。
持ち合い相場ではこちらの相場に比較的強いパラボリックのサインで、トレンド相場ではこちらの相場に強いMACDのサインで売買ができます。
■持ち合い相場
何度もダマシが出て損切りが多発するMACDを無視して、MACDのデッドクロスとパラボリックの売りサインが重なった時に売り抜けて、着実に利益が出せています。
■トレンド相場
利確が早すぎるパラボリックを無視して、こちらもMACDのデッドクロスとパラボリックの売りサインが重なった時点の高値で売り抜けられています。
短所
短所は特には見当たりませんでした。
もしお気づきの点があれば、ぜひご指摘頂けるとありがたいです。
2022/09/23追記:TQQQやレバナスのチャートのMACD,パラボリックではなく、元となるNASDAQ100指数のMACD,パラボリックを使用します。
この手法で売買するのは2倍、3倍のレバナスですが、売買タイミングを知るためのチャートは1倍のNASDAQ100指数を使います。
NASDAQ100指数のMACD,パラボリックの方が、レバナスのものより数ヶ月早くサインが出るというのが理由です。
以下はコロナショック後のバブルとその崩壊の部分を切り取っていますが、NASDAQ100指数のMACDの方がレバナスより数ヶ月早くクロスして、高利益を上げています。
↓NASDAQ100指数のMACD,パラボリックでTECLを売買した場合
使うチャートの違いだけで、ここまで利幅が変わってきます。
本筋ではないので1例しか上げませんが、過去殆どの場所で、NASDAQ100指数の方が先にサインが出ていたことを確認しています。
この理由として、おそらくレバナスはNASDAQ100指数の数倍の値動きをするため、例えば上昇するときはめちゃくちゃに上昇し、下落に転じた時、かなり下げなければMACD,パラボリックがクロスしてくれないためではないかと考えています。下落から上昇に転じる時も同様です。
また、レバナスの売買タイミングの判断に別の商品のチャートを使っていいのかと思われるかもしれませんが、レバナスはNASDAQ100指数にレバレッジを掛けたものであり、NASDAQ100指数が上がれば必ず上がり、下がれば必ず下がります。
そうであれば、売買サインが早く点灯すればするほど安く買って高く売れますし、元となっている指数の方を参照するほうが本質的と言えるでしょう。
検証結果まとめ
今回検証した4つの手法の資産推移は以下の通りです。
月足MACD&パラボリック投資法(緑線)が、ほとんどすべての場所で、MACDとパラボリックの内、パフォーマンスのいい方に追随できていることが確認できます。
その結果、3倍レバナスについてのシュミレーション結果を見て分かる通り、圧倒的なリターンと安定感となっています。
■リターン(初期投資額10万円)
■損失積(低いほど良い)
2022/09/23追記1:テクニカル指標を信頼して良いのか
この記事で最終的にたどり着いた「月足MACD&パラボリック投資法」で使用するMACDとパラボリックは、言ってしまえば、ただのテクニカル指標に過ぎません。
株(この場合は指数)の本質的な価値や景気の先行きなどの、ファンダメンタルズは全く考慮していません。
単体のテクニカル指標で有意な効果を示せるものが一つとしてないことは、世界中の研究者が繰り返し証明しています。
しかし、
については、十分理にかなった、数十年単位で考えれば限りなく100%に近い確率で一括投資や積立投資を大きくアウトパフォームする手法であると考えています。
その理由として、以下があります。
1について、この前提ならば、暴落の初期段階で売り逃げて、ある程度上昇に転じてきたところで買い戻すのが最適解のはずです。
それであれば、ある程度まで下がったところで売りサインを出すMACDやパラボリックであれば、暴落に巻き込まれることを早期の段階で回避できます。
暴落が終わったあとで、ある程度上昇に転じたところでMACDパラボリックが出す買いサインで買い戻せばいい、ということになります。
2022/09/23追記2:NASDAQ100以外の指数でも検証
S&P500 3倍ブル
S&P500の3倍ブルETFでMACD&パラボリック投資法を検証したところ、2001年から20年で資金が15倍という結果になりました。
一括投資が3.5倍なので、こちらも申し分ない結果なのではないでしょうか?
TOPIX
次は、20年以上典型的な持ち合い相場が続いているTOPIX1000での検証です。
設定来のチャートは以下のようになっています。
2007年4月まではMACDのデータがないので、実質的には2007年5月からの検証となります。
検討に使った3倍ブルのチャートは以下のようになっており、ほとんど上昇しないボックス相場の検証にうってつけです。
結果は以下の通りです。
1.8倍になっており、NASDAQやS&P500には見劣りしますが、一応は増えています。
この手法は上昇相場を前提にしており、NASDAQがこのようなボックス相場となる可能性は低いと考えていますが、もしボックス相場になったとしても、少なくとも大損することは少ないと言えるのではないでしょうか?
ただ、以下の上昇するように見せかけた後下がるという動きを繰り返していた期間では50%も損しており、こういった相場にはめっぽう弱いことが分かりました。
このように、万能ではありませんが、殆どの期間で上昇しているような、NASDAQやS&P500などの指数であれば、この手法で同じように利益を上げられると推測できます。
2022/09/23追記3:毎月3万円の投入で「月足MACD&パラボリック投資法」を実践した場合のシュミレーション結果
今回の検証ではあくまでも各手法を比較するのが目的だったため、簡単のために、最初に10万円を投入した後、その後は新たに資金は追加しないものとしました。
しかし、これよりは、毎月の収入から投資資金を捻出して積み立てていくほうが現実的かと思います。
そのため、私自身が今後実践したいと思っている、以下の場合の資産推移をシュミレーションしました。
ただし、2022年現在の3万円は、例えば検証開始時の1989年の3万円とは大きく価値が違うでしょうから、物価や賃金を考慮して私が独自に算出した割引率で計算した、各年月で現在の3万円と等しいと考えられる金額を積み立てたと仮定してシュミレーションを行いました。
1985/10:11,035円
1985/11:11,060円
1985/12:11,085円
1986/1:11,110円
︙
2022/5:29,797円
2022/6 :29,864円
2022/7:29,932円
2022/8:30,000円
計:約840万円
その結果が以下になります。
なんと、約32億円です。凄まじいですね。
結論:月足MACD&パラボリック投資法が最強!
今回の検証結果から、私は月足MACD&パラボリック投資法で3倍レバナスであるTQQQ(18歳になるまではTECL)を運用していくことにします。
それでは、ここまでお読み頂きありがとうございました。
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